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公認会計士・税理士・行政書士・弁護士と商業登記

公認会計士は、司法書士法第73条ただし書きに相当する公認会計士法第2条2項に付随する商業登記を業として行うことが可能です。
一方で、税理士法・行政書士法は、ただし書きに相当する法令に該当しませんので、税理士・行政書士は商業登記を業として行うことができません。仮に、税理士名で登記申請を行っても法務局で受理されないことがありますし、税理士が登記申請のための必要な書類を作成し、本人名で代行して申請した場合には、受理はされますが司法書士法違反となることがあります。
なお、弁護士は、弁護士法3条に基づき、登記申請代理業務(商業登記+不動産登記)を行うことが可能です(東京高裁平成7年11月29日)。
※ 商業登記について、公認会計士は業務に付随する必要があるが、弁護士は業務に付随する必要がない。

(参照) 計理士又は公認会計士、会計士補の登記申請書類の作成及び申請代理について(昭和25年7月6日民事甲第1867号民事局長回答)
計理士又は公認会計士、会計士補が会社その他法人の設立を委嘱された場合その附随行為として登記申請書類(定款、株式申込書、引受書、創立総会議事録等の添付書類を含む)の作成及び申請代理を為すことは、司法書士法(昭二五、五、二二法律第一九七号)第十九条の正当の業務に付随して行う場合に該当し差支えないと考えられますが、いささか疑義がありますので御回示願いたく照会いたします。

回答 照会に係る標記の件は、貴見の通り積極に解して差し支えない。

(参照) 税理士が登記申請書類の作成及び申請代理の可否について(昭和35年3月28日付民事甲第734号民事局長電報回答)
計理士または公認会計士が会社その他法人の設立を委嘱された場合、その附随行為として登記申請書額の作成及び申請代理をなすことができるが、税理士についてはこのような設立及び附随行為はできないと思料いたしますところ、いささか疑義が生じましたので至急電信にて回報下さるよう照会します。

回答 昭和三十四年十二月十一日付電報番号第四九七号で問合せの件、貴見のとおりと考える。

(参照)構造改革特区及び地域再生(非予算関連)に関する再々検討要請に対する各府省庁からの回答について 内閣官房 地域活性化統合事務局(平成21年10月14日)
・要望事項 商業・法人登記業務の行政書士への開放
・該当法令等 司法書士法第3条,第73条第1項,第78条
・制度現状 司法書士会に入会していない司法書士又は司法書士法人でない者は,登記に関する手続の代理業務,書類作成業務及び相談業務をすることはできない。また,違反者には刑罰が科される。
・求める措置の具体的内容 1.現在、公認会計士に無試験で認められている商業登記の代理権を、行政書士にも認めて頂きたい
(以下略)

・各府省庁からの提案に対する回答
商業・法人登記手続を代理して行うには,会社法等の民事実体法や,商業登記法,商業登記規則等の手続法令に関する高度な知識及び専門的能力が要求される。公認会計士の資格の取得に係る試験における出題内容は,会社法,商法といったいわゆる企業法分野の専門性の高いものとなっており,商業・法人登記手続を行わせる上で十分な専門的法律知識を有していると評価することができるが,行政書士については,現在の資格試験の状況を考慮すると,許認可に携わっていること等をもって,これが満たされているとはいえない。

参考

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〇会社設立における行政書士と司法書士の関係
 定款の公証役場への認証申請は行政書士の業務であり、設立登記の申請は司法書士の業務であるが、司法書士は定款作成代理人として定款認証業務を行うことができる。

(参照)昭和39年9月15日の民事局長回答
司法書士法第1条(現第3条)に規定する官庁に提出する書類に添付を必要とする書類または提出書類の交付請求書(例えば、売渡書、各種契約書、証拠写の作成、住所、氏名、租税、公課の証明願、戸籍の謄抄本の交付請求書等)の作成については、司法書士の業務範囲に属するが、右官庁以外の官公署、団体へ提出する各種願書、届出、事実申立書および前記官庁(裁判所等)へ提出しない各種契約書の作成は、行政書士の業務範囲に属する。

参考

(参照)平成18年1月20日民商第135号民事局商業課長回答
標記の件について、別紙1のとおり東京法務局民事行政部長から照会があり、別紙2のとおり回答しましたので、この旨貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

別紙1(照会)商業・法人登記の申請書に、司法書士が作成代理人として記名押印又は署名をしている定款(公証人の認証が必要な場合にあっては、その認証を受けた定款)が添付されている場合において、他に却下事由がないときは、当該申請を受理して差し支えないと考えますが、この点につき、いささか疑義がありますので、照会します。

別紙2(回答)本月18日付け2法登1第93号をもって照会のありました標記の件については、貴見のとおりと考えます。おって、本件については大臣官房司法法制部と協議済みですので申し添えます。

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〇土地家屋調査士の登記業務

1.建物表題登記
建物を新築した場合は、完成後1カ月以内に、建物の位置や面積、所有者などの情報を登録・申請が必要
2.表題登記変更
建物を増築したり一部を取り壊した場合、附属建物を新築した場合等には、 工事完了日から1カ月以内に 変更申請が必要
3.建物滅失登記
建物を取壊したり火災で焼失した場合は、 1カ月以内に申請が必要
4.土地分筆登記
土地の一部を売買する場合、相続により土地を分割する場合など
5.土地地積構成登記
実測した面積と登記簿記載の面積が異なる場合に、登記簿の面積を実測面積に更生する
6.土地合筆登記
複数の土地を一つまとめる

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〇土地家屋調査士と司法書士

土地家屋調査士 ・・・「表示に関する登記」
位置、形状、面積などを調査、測量して登記をすることにより、新たに表題部だけの登記簿が作成

司法書士 ・・・ 「権利に関する登記」
甲区欄…所有者の住所、氏名や抵当権等の内容等
乙区欄…金融機関などから住宅資金の借り入れなどをした場合の抵当権の登記等

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〇 弁護士の職域

(参照) 弁護士法第3条
第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。

・弁護士の職務を定める弁護士法3条1項の「その他一般の法律事務」に登記申請代理業務が含まれます(司法書士第73条ただし書きに弁護士法が該当)。

まとめ
・弁護士は、職務に付随するか否かにかかわらず司法書士、行政書士、社会保険労務士、弁理士、税理士の業務を行うことができる。
・弁護士は、公認会計士、土地家屋調査士の業務は行うことができない。

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〇 公認会計士の職域

(参照) 公認会計士法 第二条2項
公認会計士は、前項に規定する業務のほか、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。

(参照) 税理士法第3条(税理士の資格)
1 次の各号の一に該当する者は、税理士となる資格を有する。ただし、第1号又は第2号に該当する者については、租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるものに従事した期間が通算して2年以上あることを必要とする。
(1) 税理士試験に合格したもの
(2) 第6条に定める試験科目の全部について、第7条または第8条の規定により
税理士試験を免除された者
(3) 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)
(4) 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)

(参照) 行政書士法第2条(資格)
次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
1.行政書士試験に合格した者
2.弁護士となる資格を有する者
3.弁理士となる資格を有する者
4.公認会計士となる資格を有する者
5.税理士となる資格を有する者
6.国又は地方公共団体の公務員として(以下略)

まとめ
・公認会計士は、税理士会に登録することによる税務代理、行政書士会に登録することによる行政手続きの代理、業務に付随する一部の商業登記、業務に付随する社会保険労務事務を行うことができる。

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(参考)税理士制度に影響を及ぼした主な事象

*(四)納税者の代理人
われわれは、次のことを勧告する。
まず、弁護士及び公認会計士については、人物試験以外の試験を経ずに、税務当局に対し納税者を代理することを認めるべきである。次に、現時開業中の税務代理士については、人物試験を受けるだけでその業務を継続することを認められるが、今後税務代理士の地位を得ようとする者は、専門知識に関する筆記試験に合格しなければならないこととする。(シャウプ使節団第二次日本税制報告書C所得税の執行に関する問題 四、納税者の代理人より引用)

<弁護士法公布・弁護士法全部改正>
日本の弁護士の制度は、明治時代になり近代的司法制度の導入とともにフランスの代言人に倣って創設されたもので、代言人と呼ばれていた。ただ、代言人の地位は決して高くはなく、軽蔑されることも多く、また、初期にはきちんとした資格制度が存在していなかったために、中には悪質な者も存在した。 明治26年3月4日にドイツ帝国弁護士法を範とした近代的な弁護士法が公布され、代言人に代わって弁護士という名称が使われるようになった。当時の弁護士は司法省の監督のもとにおかれ、その独占業務も法廷活動に限られていた。弁護士は裁判官や検察官よりも格下とされ、試験制度も異なっていた。 現在の弁護士法は昭和24年6月10日に公布された。これは、従前の弁護士法の全部改正となったものである。国家権力からの独立性が認められた。また、司法試験及び司法修習によって裁判官、検察官、弁護士の資格試験及び修習制度が一元化されることとなった。

<計理士法公布・公認会計士法公布>
昭和2年、わが国最初の法定された職業会計人の基となる計理士法が公布された。同法は会計士制度を積極的に確立しようとするものではなく、計理士の資格を認めることで、自称会計士の取り締まりに利用しようという消極的なものだった。・・・計理士制度は大きな変革を迫られた。こうして公正な株式取引市場の確立と並んで、投資家保護を目的とする会計監査制度とその制度を支える高度な会計の専門家を望む声が内外から高まり、昭和23年公認会計士法が成立した。

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公認会計士・税理士の行う社会保険事務
公認会計士は、公認会計士法第2条2項に規定する業務に付随して行う場合には社会保険労務士法第2条に掲げる事務を業として行うことが可能。
税理士は、税理士又は税理士法人が行う税理士法 第二条第一項 に規定する業務に付随して行う場合には社会保険労務士法第2条に掲げる事務を業として行うことが可能。

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非弁行為と士業独占について
ある業務より報酬を得ている場合に、当該業務が事件性を帯びてきたら(紛争の香りがしてきたら)に意図せず非弁行為に該当してしまうことがありますので特に隣接士業の方(司法書士、行政書士、社会保険労務士、公認会計士、税理士、中小企業診断士など)は留意が必要です。

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税理士業務と無償独占性について
 弁護士法3条2項において弁護士は当然に税理士の事務を行うことができるとされています、しかし、弁護士業務の大部分が有償独占であることに対し、税理士業務は無償独占とされており規制の程度が強化されています(税理士法基本通達2-1)。ただし、業務を行う場合には、税理士法51条における通知もしくは、税理士登録が必要となります。

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独占業務は、確かな知識を持たない者が安易に事務を処理することにより誤った処理を行ってしまうことを防ぐため各士業に関する法律により定められており、また、それが社会正義の実現、国民経済の健全な発展、納税義務の適正な実現、労働者等の福祉の向上等に寄与することから、国家資格者に与えられた特権ともいえるでしょう。
この特権、各士業団体は拡大解釈する傾向にありますが、法律制定の趣旨から、国民・社会のためになる範囲で限定的に解釈されるべきです。独占業務が業界を守るためではなく、国民、社会のために存在するということを改めて認識する必要があるように思います。

(2015/11/06 執筆)